水族館のスタッフの仕事

アザラシの病院

こんな仕事をしています

水族館の獣医さんの仕事

sealhospital02動物園もそうですが、動物の診療や研究だけやっているわけではありません。他の飼育係と同じように、動物舎の掃除や動物への給餌、解説パネルやイベント用の道具を作ったりもします。むしろ診療よりもこっちのほうが多いかもしれません。

病気がないほうが、動物たちにとってはいいことです。

 

治療より予防

水族館にいる動物たちの多くは、飼育されているとはいえ、本質は野生動物です。敵に襲われないように、自分の弱みをみせません。具合が悪くなっても症状を隠します。気づいたときには病気が進行して重くなっていることもあります。ですから、病気になってから治療をするよりも、いかにして病気にかからないようにするかということが重要です。
そのためには何が大切でしょうか?それは、飼育している水槽やプールを清潔に保つことと、新鮮な餌を与えることです。
でも一番大事なのは、担当の飼育係の人たちと十分なコミュニケーションをとることです。これは、牛や馬の獣医さんや犬・猫の獣医さんと同じです。その動物たちの一番近くにいる人たちとよく話をすることが大事です。家族と同じように、動物と一番近くにいる人がその子たちのことを一番知っています。
これは、治療するときも同様です。

 

それでも病気になってしまったら...

sealhospital05どんなに気をつけていても、病気になってしまうことがあります。そのときは、他の動物と同じように薬を飲ませたり注射をして治療します。治療するときは動物を抑えなければなりません(力づくではだめ。コツがあります。)が、抑えられること自体が動物のストレスになるので、できるだけすばやく確実に治療を終わらせます。

 

トレーニングと健康診断

sealhospital03ショーをしている動物たちは、ショーのトレーニングを応用して健康診断することができます。トレーニングはショーのためだけのものではありません。担当飼育係と動物たちのきずなが強いほど、動物たちは検査が終わるまでおとなしく待っていてくれます。
体重測定、体温測定、聴診、触診、血液検査などをすることができます。

魚が病気のときは

魚も病気になります。魚はイルカやアザラシよりデリケートです。ちょっとした水の変化で死んでしまいます。魚の健康を守るためには、水質についてよく知っていなければなりません。病気予防のためには、適切な飼育水と餌が大切です。

 

野生動物の保護

飼育している動物たちの他に、野生動物の治療をすることがあります。
野生動物はいつも死と隣り合わせです。弱っている動物はやがて死を迎え、その死体は他の動物に食べられ、命が違う形で受け継がれていきます。それが自然の摂理であると思いますが、ときには水族館に傷ついた野生動物が運び込まれることがあります。運び込まれた命を救い、結果によらずその命の尊さを皆さんに伝えることもまた、水族館の役割であると思います。
動物たちは、多くの場合、瀕死の重傷を負っています。助からないことも多いです。
また、死んでしまった動物たちも、病理解剖し死因を究明するとともに、野生動物の研究をしている大学などに貴重な標本として使ってもらいます。
小さなことの積み重ねが、自然や野生動物の謎を解き、同じ地球の仲間として共存していくための一歩になれればと思います。

 

保護したケース