水族館のスタッフ

館長

 

館長

ごあいさつ

 

館長の伊勢伸哉です。

おたる水族館のホームページをご覧いただきましてありがとうございます。
水族館は水辺の生き物を通じて、彼らが逞しく生き抜いている自然環境を
楽しみながら感じていただける場です。
自然界からの大使である野生動物の姿をご覧いただき、北海道で共に暮らす
生き物を育む環境を感じていただければと思っております。

<命の連鎖>

 

 平成26年、おたる水族館は40周年という節目の年を迎えます。
今から40年前の昭和49年7月14日、現在の水族館がオープンいたしました。
そもそも当館は昭和33年に「北海道博覧会 海の会場」として誕生しました。
翌年の昭和34年、「小樽市水族館」として運営を引継ぎ、トドのダイビングや
ホッキョクグマの飼育など、当時はまだ北海道内に数えるほどしか存在しなか
った水族館の一つで、多くのお客様にご利用いただきました。

 

小樽市水族館1 小樽市水族館2

 

前身の小樽水族館                      現在の海獣公園付近

 

 

 小樽市の運営から株式会社として変更になった昭和49年、現在の水族館を
新館として運営母体も新たにスタートしたわけです。
それまでの詳細については、小田・前館長のページで詳しく語られていますので
ご覧ください。

 

 現在当館で展示している生き物は、約250種・5,000点を超えています。
このすべての種は、今現在も北海道・日本そして世界中の野生下でしっかりと
逞しく生き抜いている野生動物です。
野生動物が生きているということは、命が連鎖している証です。
野生生物はすべて命を保持し子孫を残すために生き、生きるために他の生き物
の命をいただいています。
 どんな生き物も、もちろん人間も、この「命の連鎖」の中に組み込まれています。
そしてこの「命の連鎖」が、人間の力の及ばないところでしっかりと成り立って
いるのが自然(野生)です。
豊かな自然環境があってはじめて命の連鎖、すなわち生態系が成り立つのです。

 

 北海道では秋になるといたるところでサケが回帰します。漁業資源として
採卵~放流事業が行われ続けた成果です。サケは約4年で生まれた川に戻って
くると言われていますが、この4年の間、さまざまな生き物を食べていること
でしょう。卵から生まれたばかりの稚魚は体長も1㎝ほどですから、ミジンコ
などのプランクトンを食べて成長します。
 成長するにしたがって自分の口も大きくなって行きますが、その口の大きさに
比例して徐々に大きな生き物も食べるようになります。小魚やエビ・カニなど
も食べて次第に大きくなって行くのですが、生まれた川へ戻るまでの4年間で、
相当量の生き物を食べて生き抜いて来たと想像できます。

 

 さて一方、100匹の稚魚はどのくらい戻ってくることが出来ると思いますか?
80匹程? それとも半分の50匹? いやいやもっと少ない10匹程度では?
実は、わずか3匹程です。
では残りの97匹はどうなってしまうのでしょうか・・・。
そうです。お察しの通り、他の多くの生き物に食べられてしまうのです。もち
ろん食べられる前に死んでしまうものも少なくありません。しかしその死骸も、
それを食べる生き物の命につながっています。
ですから自然下では、「命」が無駄になることなどないのです。

 

ホッケ

 

<自然界からの大使>

 

 おたる水族館で生活している生き物はすべて野生動物です。
もちろん「飼育下」ですので、「野生」と言い切るには少々語弊があるかも
しれません。彼らの仲間は未だに自然の環境で、誰の力も借りずに逞しく生
きている動物たちだということです。
ですから水族館で暮らす彼らは、自然界から人間界に来てくれている「大使」
です。自身の身を持って、人間の世界へ自然環境への気付きのきっかけを展示
水槽や飼育プールの中から示してくれているのです。

 

 「同じ哺乳類なのに、どうしてこんなに姿が違うのだろう。」
アザラシやイルカを見ると、いつもそう思えてなりません。
ヒトは二足歩行により、「前脚」ではなく器用に使用出来る「手」を得ました。
しかしアザラシやイルカは、水中で迅速に移動出来るように、「前脚」は魚の
鰭のように変化しました。
 より生き抜くことが出来るように変化する=適応することで、過酷な自然で生
き抜く能力をそれぞれの種によって個性豊かに身に着けたのです。
ペンギンは水の中を「飛んで」いますので、間違いなく鳥だと理解いただける
ことでしょう。

 

 生き抜く能力を身に着け、その力を発揮している姿は本当に美しく、その美
しい生き物たちを育む自然の環境に畏怖を感じます。
偉大な自然下で逞しく生き続ける生き物たちも偉大です。
すばらしい能力を身に着けた彼ら本来の姿や行動をしっかり引き出せるようし、
皆様にご覧いただくことが「大使」である彼らに対する礼であり、そして大使と
いう役割を全うしてもらえるように配慮することが、我々の最大の役割であると
痛感しています。

 

タコを食うアザラシ

 

<これからの役割>

 

おたる水族館は4つの理念に基づき、運営しています。

 

1. 水族に対する理解と興味の喚起を図ると共に、自然科学の研究の場として
   教育文化の向上に役立てます。

 

2. 自然とのふれあい、楽しいレクリエーションの場として解放感を味わえる
   環境作りを進めます。

 

3. 水族に関わる多様な研究資材の収集、展示を図り、学術的、あるいは関連
   産業の振興に貢献します。

 

4. 自然保護思想の向上と、野生動物(海獣)の保護増殖、漁業資源の維持培養
   など技術的協力を行います。

 

 教育の場と言っても学校教育とは異なります。
「教える・教えられる」といった関係ではなく、観覧いただく皆様はあくまで水
槽の中で暮らす生き物たちから何かを感じる場であるということです。
それは生き物それぞれの逞しさだったり固有の能力だったり、姿形の違いや食べ
物の違いなども・・・。
実際に見て嗅いで聴いてそして触っていただくことで、必ず何かを感じていただ
けることと思います。

 

 生き物について、何かを感じていただくきっかけは人それぞれですが、楽しく
感じていただければ、きっと理屈ではなくすーっと感性で理解されるのではない
でしょうか。楽しく感じていただける場、すなわちレクリエーションの場として、
今後もさらに皆様に活用していただけたらと思っています。
 レクリエーションは「recreation」と書き休暇や娯楽という意味ですが、私は
もう一つ意味があると思っています。
creationは「創造」です。そして「re」は「再び」。
ですから「再び創り出す」ことを意味している。
水族館にお越しいただき、そこでいろいろなことを感じていただくことでさらに
色々な考えや意識を再び創り出すことが出来る場だと考えています。生き物が暮
らすこのかけがえのない地球環境について、忘れかけていた意識を再認識出来る
身近な場が、動物園や水族館なのです。

 

 動物園や水族館は、多くの野生生物が棲む自然環境と一般社会とをつなぐ場所
です。人間社会にとって普段はあまり感じることが多くない環境への気付きの窓
が、動物園や水族館の中には数多く開いています。
言わば、生き物を通じて自然環境を伝える「インタープリター」です。
 おたる水族館は、北海道という非常に厳しい自然環境で逞しく生き抜く水辺に関
わる多くの生き物を見て触れて楽しく感じていただくことで、私達が生活するこ
の北海道の環境を現在よりも悪化させない様、インタープリターとしての役割を
続けて行きたいと思っています。
そして「気付き」の窓をより多く用意して行くことが、最大の責務だと思ってい
ます。

 

 地球上では今、7秒に1種が絶滅していると言われています。
シマフクロウやナキウサギ、イトウやキタサンショウウオなど、北海道でも絶滅
の危機に瀕している生き物達は少なくありません。
しかし一方で、陸上にはエゾヒグマが、海にはトドといった生態系の頂点種が生
存しています。生態系頂点の動物がいる環境は、まだ豊かであるという証で、こ
の北海道にはそんな環境がまだまだ陸にも海にも残されているのです。

 

 私達の多くの先輩達が40年の間に築き上げてきたこのおたる水族館は、次代
を担う多くの皆様に取って身近な自然環境への「気づきの場」として、今まで以
上に親しんで愛される、北海道には無くてはならない施設を目指し、職員一同さ
らに努力して参ります。

 

 今後もご来館いただければ幸いです。(平成26年4月 記)

 

モンキチ