みなさんは、北海道の深海にどんな生きものが暮らしているか知っていますか?
おたる水族館では、北海道の海に暮らす生きものの魅力をもっと多くの方に知っていただくため、さまざまな調査や採集・飼育展示に取り組んでいます。
今回は9月に北海道大学「おしょろ丸」に乗船し、噴火湾周辺の海で生きものの調査・採集を行いました。
当館としては、初めての取り組みです。

今回の航海では、海底付近を調べるトロール網や、プランクトンなどを採集するネットを使用しました。
調査した場所の中には、水深700mを超える海域もある、太陽の光がほとんど届かない深い海。
さて、どんな生きものに出会えるのだろうか。

網が船上に引き上げられるたびに、期待が高まります。
採集されたのは、普段の水族館ではなかなか出会うことのできない魚やヤドカリやカニといった甲殻類、ヒトデなどの棘皮動物たち。

今回、特に印象に残ったのが「ハダカイワシ」の仲間です。
ハダカイワシは、主に海の中深層と呼ばれる場所で暮らす魚です。
実は、これまで図鑑などでその姿を知ってはいたものの、特別に注目していた魚ではありませんでした。
ところが、今回初めて生きた姿を目にして、その印象が大きく変わりました。
体に並ぶ小さな発光器が、とても美しい。ほんとに美しい。
ハダカのイワシでしょ、と思わないでください。ハダカイワシです。ぜひ覚えてください。
「この姿を、水族館のお客様にも見てもらいたい」そう強く感じた瞬間でした。
一緒に乗船していた学生さんたちも、その姿に驚いていました。

は、ハダカイワシの仲間は、深い海の生態系を支える重要な魚たちでもあります。
私たちにはあまりなじみのない魚ですが、深海では多くの生きものの食べ物となり、海の食物網の中で大切な役割を担っています。
また今回の調査では、魚だけでなくオキアミやカイアシ類などの様々なプランクトンも採集されました。
ハダカイワシはこのような小さなプランクトンを食べていると思われます。
小さな魚から、海の大きなつながりが見えてくるのです。

今回の調査では、生きもの以外にもさまざまなものが網に入りました。
それは、ヒト由来のゴミです。
私たちの生活から遠く離れているように感じる深海。
しかし、そこも私たちの暮らしと無関係ではありません。
美しい生きものたちと同じ海から、ゴミも見つかる。
今回の航海は、そんな海の現実についても考える機会となりました。

今回の調査では、生きたハダカイワシの仲間や卵なども採集することができました。
とはいえ、深海の生きものを水族館で飼育することは、簡単ではありません。
水温や水圧の変化、餌の問題など、分からないことがたくさんあるからです。
今回の調査で得られた経験をもとに、北海道大学の先生方とも協力しながら、採集方法や飼育方法について検討を続けていきたいと考えています。
みなさんがまだ知らない、北海道の海の世界。
その魅力をこれからも探し続けていきたいと思います。
最後になりますが、今回の乗船にあたりご協力いただいた、おしょろ丸の船長をはじめ船員の皆さま、北海道大学の先生方やTAの皆さま、学生の皆さまに心より感謝申し上げます。


