アザラシのレスキュー

アザラシのレスキュー

北海道という土地柄か、おたる水族館には衰弱したアザラシのこどもが運び込まれることがたびたびあります。 多くの場合はお母さんとはぐれ、おっぱいを飲めずやせてぐったりしているところを発見、救助されます。
弱っているアザラシは、水に入ると体が冷えてさらに弱ってしまうので、治療開始後しばらくはプールに入れません。陸上で、体を洗って乾かし、必要に応じて点滴や抗生物質の注射をします。また、栄養をとらなければならないので、強制的にミルクを飲ませたり、魚を食べさせたりします。飼育係がお母さん代わりになり、一生懸命ケアをします。自分で餌を食べられるようになったらプールに入れてあげます。
このように飼育係の手厚い看護で元気になるケースも多いのですが、時には、釣り針などのゴミを飲み込んでしまったアザラシが保護されることがあります。水族館にはレントゲンや麻酔のための医療機器が無いので、大学の獣医学部付属病院にお願いして検査してもらいます。

これは、釣り針を飲み込んだアザラシのレントゲン写真。
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麻酔をしてから、内視鏡(胃カメラ)で取ってもらい元気になりました。大学病院との連携は、水族館にとって大事なことです。
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元気になったアザラシは、本来であれば海へ還すべきです。しかしアザラシは漁師さんの網を荒らす害獣でもあるので容易にはできません。研究機関と共同で許可をもらい、漁師さんにお話して行動追跡用発信機をつけて海へ還すこともあります(発信機は毛が抜け変わる5~6月に古い毛といっしょに外れてしまうので、追跡調査は短期間です。

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発信機を発信機をつけて海へ還るゴマフアザラシのこども

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衛星追跡した結果。日本海からオホーツク海へと移動しています。

また、死亡してしまったアザラシも病気の研究などのために病理解剖して死因を究明するとともに、大学などの研究機関に送り自然環境や動物と人間の共存のために役立てています。 理想は人間とアザラシの共存ですが、漁業被害とアザラシの保護を両立させるにはまだまだ超えなければならないハードルがいくつもあります。保護活動を通しながら、研究者の人たちや漁師さんとお話してその道をさぐっていきたいと思います。