小田・前館長

小田・前館長

DSC_6293


ごあいさつ

 

館長の小田 誠です。

おたる水族館ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

私たちおたる水族館のスタッフは、自然との共生、自然との対話をテーマにご来館いただいた皆様に感動や楽しさをお伝えできる水族館にしていきたいと考えています。

館長のひとりごと「50周年を迎えて、新たな一歩」

おたる水族館は昨年の7月に、1958年の北海道博覧会の海の会場として誕生してから50年の節目の年を迎えました。そこで記念企画として、半世紀の沿革を振り返る「歩み展」と、全国の水族館に先駆けて公開した動物ショーや国内初の繁殖に成功した生物たちを、パネルや生体で紹介する「水族館が初めて物語」の2部構成で実施しました。

 

「歩み展」では大勢の観客で賑わった道博会場の様子、そして1974年に建て替えられた現在の水族館の建設やその後の人気動物の導入に伴って新設された施設などを、時代順に写真を添えてご紹介させていただきました。

 

一方、「初めて物語」ではおたる水族館の名を全国区にしたトドのショーを皮切りに、一昨年に日本動物園水族館協会から北海道に生息する希少魚のエゾトミヨで表彰された繁殖賞まで、半世紀の中で繰り広げられた数々の動物たちのドラマやエピソードなどを写真とコラムでご紹介させていただきました。

 

企画全体としては時間的な余裕も無く、しかも旧水族館を知る者も少ない中にあって、現在の水族館になってからの34年間に偏重したきらいもありましたが、現在の水族館の開業と同時に飼育係で勤めた私にとりましては、旧館時代の先輩が作り上げたトドショー以降のすべては直接、間接を問わず、水族館の歩みは自らの歩みとも言えると手前勝手に思っていますので、それなりに満足いくものでした。

その内容のごく一部をご紹介しますと・・・・・

 

1978年には神経質で調教が難しいとされてきたアザラシのショーを国内で初めて成功させました。これは直属の部下の仕事です。1981年には私と二人の部下が力を合わせ、道内で初めてバンドウイルカのショーを作り上げ、南米の沿岸に生息するアシカ科のオタリアと共にイルカスタジアムのオープンを飾りました。

 

また、この間に受賞した繁殖賞も11にのぼります。

そして「歩み展」の最後は、ネズミイルカとゴマフアザラシを飼育展示する「ほのぼのプール」の改修事業を取り上げました。このプールはそもそもネズミイルカを飼育してきた施設ですが、自然界での生息域を同じくするゴマフアザラシと一緒にすることで水族館の中に小さいながらも自然を再現しようとの構想に基づくもので、プールの一部にアザラシのための陸を作りました。ひとつの空間の中に異なった種類の海の哺乳動物を飼育するのは、世界的に例を見ない展示であることから「初めて物語」の要素も含んでいますので、記念企画全体を締めくくるのに相応しいものとなりました。

 

さて、50年の節目を飾ったおたる水族館にとって平成21年は更なる一歩への船出の年です。これまでと同様に新しい生物の飼育展示にチャレンジするも良し、これまでにない展示方法を考案するも良し、そして教育的な要素を盛り込んだ特別展や企画も良し。

兎に角、これから10年先、20年先、少しオーバーですが100年先までも、スタッフ共々、皆様に愛され続ける水族館作りに励んで行きますので、今後ともご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

「自然の再現」とは・・・・・

水族館はそもそも観光・レジャー、そして教育を目的とした施設ですが、その水族館の展示の方向性の相違によってレジャー的であったり、教育的であったりします。

 

おたる水族館の展示は、と言うよりも、私が館長として目指す展示は、と表現すべきかも知れませんが、ここ数年来より「自然の再現」をテーマに掲げてきました。水族館の飼育係には潜水士の資格を持たせるようにしています。展示水槽の掃除のために資格を取らせることはもちろんですが、自然界の生物が生き生きと輝きを放って生活している本当の姿を見てもらいたいと願ってのことです。私も若い頃は水族館周辺の海をずいぶん潜りました。そしてその目に焼き付いた光景が、長い時を経た今でも光りを失うことなく記憶に甦ります。そしてさらに、その感動を、水族館に来られたお客様に水槽の中という人工の再現ではありますが伝えたいと思っています。

 

私が、今更ながらにこんな話をするのは水族館で展示している魚たちがつまらなく見えてしまうからなのです。では、何故そう見えるのでしょう?その原因は飼育員が兎に角、長生きさせるために大事に育てているからです。たとえば北海道を代表する魚にホッケと言うのがいます。日がな毎日、限られた水槽という空間で、定刻に餌をもらって生きた結果、やがて体脂肪が蓄積されて水平に泳ぐことができなくなります。頭を下に逆立ち泳ぎをする魚になってしまいます。なぜ、自然界の魚たちは輝いているのだろうか?それは「食う・食われる」と言う、生き残りをかけた厳しい現実の中に身を置いて生きているからです。また、荒波にさらされるなどの想像を絶する環境変化にも絶えていかなければなりません。その中で子孫を残すための営みが繰り返されているのです。必死に、しかも直向きに生きているからこそ輝いているんです。

 

そうです、生き物たちの光り輝いている命の展示が「自然の再現」なのです。

 

誰もが、いつでも、自然の海を潜ってその素晴らしさを体験することができることは理想ですがそうはいきません。それを実現出来るのは水族館だけですし、それができなければ水族館とは名ばかりです。

 

とにかく数多くの種類やひとつの水槽を賑々しく見せることがお客さんに喜んでもらえると・・・現在も変わることの無いスタンスの水族館もありますが、でも少しずつ変化の兆しが見えて来るようになりました。少なくともおたる水族館はそうですし、これからもそうありたいと願っております。当館にお越しいただいたお客様に、明日を生きる力になるような幸せを体感してもらえる世界一とは言わないまでも、日本一の水族館にしていきたいですね!